代表取締役の笠原幸治様にお話を伺いました。
ボンベを見ていただくと充填期限が記載されているように、LPガス容器は5年もしくは2年に1度、高圧ガス保安法という法定検査をしなければいけないことになっています。分かりやすく言うと「車検」に似ており、安心を提供するサービス業に近いですね。検査内容は圧力検査や外観検査、内部検査があり、錆びや腐食をチェックしています。本来は長期間使える容器ですが、安全を考慮し、約20年で廃棄とします。岐阜県内に再検査場は4社しかなく、4社で県内全ての容器の再検査を行っています。
東日本震災前は、CO2削減の観点から原子力が推奨され、オール電化や太陽光エネルギーへの転換が唱えられ、LPガスは淘汰の動きがありました。また、小学校での理科の実験や家庭科の演習では、ガス器具を使わない教育がなされ、子どもたちに『炎は危険』だから使わないようにする考え方が根付くことを危惧していました。しかし、震災時に小学校や体育館が避難所となり、LPガスが主要なライフラインとして活躍し、温かい食事や暖を取ることができました。LPガスは、災害時など有事に使えるツールとして、重要性も再認識されました。そして、全国に先駆けて岐阜市では市内すべての小学校に災害用バルグを設置、緊急時にはLPガスが使用できるようになりました。
お客様には、私どもがちゃんと検査しているか否かを見せることはできません。そこで、目に見えないからこそ、お客様が“ここに出したら安心”と思っていただける証として、品質におけるマネジメント「ISO9001」を業界で初めて取得しました。また、業界を通じて災害に強いエネルギー体、災害に強い社内体制を築きたいと思い「BCP(事業継続計画)」を策定しました。様々な取り組みを行うことで「お客様の安心 安全の下支え」という思いがさらに強くなりました。
海外のLPガスは持ち運びができ、デザイン性の高いコンポジット容器(強化プラスチック)がポピュラーとなっています。日本は、JIS(日本工業規格)という厳しい基準があるのでまだ使用できません。今後、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に参加することになると、世界的基準ISO規格のFRP容器が入ってくるなど移行期になります。もしそれらの容器が入ってくるとなると、自分たちもそれに対応した仕組みを築かなければならないので、注目しているんですよ。
圧力検査など、機械で行うこともありますが、もっとも重要なのは“人の目”や長年で培った感覚による外観検査です。だから人はとても重要なんです。例えば、世の中の影響を受けて(こんな状況じゃダメだと考えるのではなく)、臨機応変に対応でき、単なるワーカーとしてではなく、自分にしか出来ない部分やそういう仕事を任されることが喜びと思える人。また、色んな視点の発想やプラス思考が出来る人と一緒に働きたいですね。
この先、次世代容器に変わっていっても、再検査の供給形態は10年、20年変わらないと思います。お客様の安心・安全のキーワードを視点とし、アイデアを絞りながら、弊社の独自性を出した将来展望を築いていきたいです。具体的には、改善活動で生まれた色んな商品をライセンス化し売っていく。また、LPガス容器の滑り止め加工の特許を取ろうと考えています。そして、競争に勝って、雇用を確保していきたいですね。
取材を通して、LPガスを見る目が変わりました!再検査場には驚くほどのプロパン容器が並び、従業員の方々が黙々と働いている姿から、「このように知らないところで私たちの生活は支えられているんだ!」と安心しました。お客様の為に、ステップアップされていく力強さを感じました。