何気ない会話の中に
世界で通じる
アイデアがあります

FILE.22株式会社箕浦
(MINOURA JAPAN)

事業内容について教えてください。

自転車関連とコンダクションチューブ関連の事業を行っています。自転車では、スポーツ部門の関連商品のメーカーとして、屋内トレーニング用のトレーナーや、修理や展示に使用するストレージ、アクセサリーなど扱っています。箕浦ブランドの草創期から積極的に海外に進出し、競争相手は海外で４、５社、国内に至っては私ども１社だけです。また、コンダクションチューブは冷暖房を効率よく行える素材で、農業や畜産、住宅の分野で需要が高まり、温室や養鶏場、幼稚園や施設の床暖房に使われています。

自転車の関連商品について教えてください。

お客様が欲しいものをいかに供給し続けられるかが１番の宿命です。時代の流れをよんだ商品作りを大切にしています。トレーナーは、どんどん静かな方向へ改良され、業界一の静寂性だと自負しています。また、足への負荷を掛けるマグネットブレーキ方式は特許もとっています。いま自転車は、乗って楽しむだけでなく、見て楽しむ人も増えてきました。大切な愛車を部屋に飾って楽しむストレージも人気です。最近では、ほとんどのスマホや携帯電話を固定できるスマートフォンホルダーが、汎用性の高さから自転車のみならずオートバイにまで販路が広がっています。

ものづくりへのこだわりについて教えてください。

品質、納期、アフターサービスが揃った信頼ある商品作りをしています。台湾や中国の値段、イタリアのセンスなど世界のマーケットで負けないで、日本製として売るためには品質と納期が1番重要です。買う側とすれば、不良や故障しやすい商品、納期がわからない商品なんて欲しくないです。当社としては品質に自信を持って提供し、万が一、国内外の商品に問題が起きた場合には、責任を持って対応します。それにより箕浦の商品は、世界中のお客様から高く評価されています。また、お客様は人と違った商品を求めています。それに対応するため多品種少量生産に対応できるような生産体制を築いています。

仕事への信念を教えてください。

もともとはメーカーの下請けとして、キャリアとスタンドのOEMをやっていました。昭和48年のオイルショックで経営が悪化、日本にない新しいものを探しに単身渡米しました。当時は1ドル360円。日本人はほとんどいなかったです。商社から提案された商品を言い値の半分で作れました。一番に行ったから、一番いい商売になりました。また｢これからの自転車は、自分で修理したり、いろんな物をつけて楽しむ時代がくる｣と聞き、全くなかった修理用スタンドを作ったら爆発的に売れました。この経験から、やはり何でも１番じゃなきゃ駄目ということと、会話の中にこそ大切なものはある、と確信しました。

特許をとったマグネットブレーキ方式の開発秘話について教えてください。

これも会話の中から生まれました。昔の米国製のトレーナーは、風ぐるまで負荷を掛けていたのでとても音が大きく、バイヤーが｢あの音を消せば自宅でもトレーニングできるのに｣と話しました。何か方法がないかと考えていたところ、客先で魚釣りの雑談をしていた時に、リールには糸をスムーズに出す為の負荷が掛かると知りました。すぐにリールをばらして、なるほどこれだ！と気づきました。商品を出したら注目度はぜんぜん違い、注文が一気に入り、半年先まで予定が埋まりました。言った人は気付いてないような、相手の何気ない会話の中に、閃くようアイデアがあるんですよ。

人材育成について教えてください。

いろいろな人が、いろいろな貢献をしてくれるから会社は成り立っています。だから私は全員が大切です。イエスマンだけでは会社はダメです。嫌いなものを嫌いって言える根性を持っているほうがいいですね。育成の方針は「やって見せよ、任せてみせよ」です。まず自分がやってみせ、そして相手の能力を見極め、徹底的に任せる。そして見守る。任せられると人はやる気になりますから。そして、大事なことは大きなビジョンを示すこと。ぶれない方向性を示すことで、そこに向かって責任を持って動くようになってくれます。