岐阜から全国へ   美しいベゴニアの花を広めたい

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FILE.14有限会社フローラシマべ

後継者の島部貴文さんに話しを伺いました。

事業内容を教えてください。

リーガースベゴニアという品種の鉢花(ベゴニア)を生産しています。ベコニアの出荷高は、岐阜県が全国で1位です。父が起業した当初は、岐阜大学の近くでハウスを建て、セントポーリアの生産から始めました。プリムラ・ジュリアンという花やクリスマスツリーになるようなゴールドクレストなど種類を徐々に増やしていきました。10年程前に道路の拡張工事があり、現在の場所へ移転したのを機にリーガースベゴニアに絞って生産することにしました。

鉢花(ベゴニア)の魅力と手入れの仕方を教えてください。

イエロー、ピンク、オレンジなど色が豊富で、ボリュームもあり心が癒されると思います。実は、手入れもそんなに難しくないです。人が快適に過ごせる空間で、カーテン越しのやわらかな光があたる所に置いてあげてください。注意してほしい点は、ベゴニアは家の中で育てることと、水の量です。ある程度、土が乾いたら与えるぐらいがいいです。多く与えすぎると根腐れしてしまうので、週に2回程度がいいですね。花にとっていい環境であれば、何年も生きてくれます。育てる喜びがわき、愛着がでてくると思います。

ハウスの仕組みを教えてください。

ハウス内をベゴニアにとって最適な環境を保てるように、最新の機械を導入して、コンピューターによる生育管理をしています。間仕切りがないことで可動式の鉢を乗せた台を女性でも楽に移動させることが可能になり、作業負担の軽減もできました。苗取りと挿し木と出荷に関してのみ、人の手で作業しています。出荷するまでの生育期間は3ヶ月半もしくは15週間で、年間約80万鉢を生育しています。

環境への取り組みを教えてください。

水や肥料は必要最小限に抑え、循環して再利用しています。また、弊社はMPSという農薬等に関する規格の認証を受けています。花の先進国であるオランダでは、MPSの認証がないと消費者に見向きされない程、浸透しています。日本ではまだ認知されていないので、今後の認知に期待しています。また省エネの一環として、岐阜大学とガラスメーカーとで共同開発したLEDライトを使用しています。ワット数が低いので消費電力の低減となります。常に環境に配慮した設備を積極的に取り入れています。

従業員について教えてください。

わが社の従業員のほとんどはパートさんで、その多くはご近所の方です。会社としてはパートリーダーを決めていません。決めてしまうと一人に負担をかけてしまうことになるので、私が指示を出す時は、一部の人に偏らないように配慮しています。また、周辺が冨有柿の生産地ということもあり、柿農家と兼業している方も多いので、出荷などで忙しい時は長期に休めるように配慮しています。

今後の展望について教えてください。

レベルの高い品質での安定生産が課題です。品質に関してはどこまで突き詰めても、終わりはないのですが、現在の品質は自分の中ではまだ満足するものではありません。その方法として、今は苗木をつける親株の培養を計画しています。詳しく言うと、1つの良い株から同じ品質の株を増やせば、良い苗木を生産することができるという考えです。その計画は、実行に移す段階まで来ています。お客様に喜んでいただける『買った後も長く楽しめるベゴニア』を目指し、日本中の人々に届けたいと思っています。

企業情報

有限会社フローラシマベ

花き生産業

住所 岐阜県岐阜市岩利3丁目57-1
URL
創業 1991年10月

取材後記

取材中、島部さんに教わりながら挿し木体験をしました。挿す深さと力加減に絶妙なポイントがあるようです。従業員さんたちは、挿し木を半日で26,000鉢行なうと聞き、大変な作業だと思いました。休憩中は、お茶会のような感じで皆さん素敵な笑顔をされているのが印象的でした。会社の雰囲気作りには、この休憩が重要なポイントだと感じました。20数年勤められている従業員の方もおり、働きやすい環境づくりを実践されていると感じました。