愛される”おもてなし”を届けたい

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FILE.18株式会社ふなやす

専務取締役の安部潔一さんにお話を伺いました

会社の沿革と事業内容について教えてください

江戸時代の話ですが、先祖は大垣藩のお殿様の鷹狩りの際に、従者の方を含め自分の屋敷でお食事など都度、おもてなしをさせていただいたようです。魚がたくさん取れる地域でしたので、魚や鳥などの行商を経て、小さなよろずやをひらきました。昭和2年に現在のメインバンクと取引を開始し、生活必需品なども扱うようになり、仕出し料理も始めました。高度経済成長期にはサンプラザーふなやすという結婚式場を建設し、最盛期には1日に8件もの式があったと聞いています。現在は、お料理を中心とした宴会や法要、平成22年から新たに葬儀事業も行っています。

新規事業はどういう決意で始めたのですか

バブル崩壊後、結婚式も多様化し商売として厳しくなってきました。色々と事業を模索して試行錯誤しましたが、なかなか上手くいきませんでした。最終的にふなやすを保つには、地域に密着する商売として競争相手が少なく、生き残る確立が高い葬儀ビジネスを決断しました。それにあたり、葬儀ノウハウを修行で一から身につけるという選択肢もあったのですが、業界に精通しているTEARのフランチャイズ加盟ができるか判断を委ねました。この地域はTEARが求めるマーケット規模としては小さかったのですが、長年地域に根ざして商売を続けてきたふなやすの信用を評価していただき、契約することができました。どんな結果であっても先のことを考え、事前策を立ていましたので、悩まずに飛び込むことができたと思います。

事業を始めていかがでしたか

葬儀は故人様への想いを残されたご遺族様とどう共有、共感するか、ということが大切になってきます。そこを追求しないと「ありがとう」という言葉はもらえないと思います。これはTEARの理念に通じるだけでなく、ふなやすが今まで商売を続けてきた核となる部分だと思います。この核の継承が結果として売上に繋がってきたのだと思います。葬儀では仕出し、法要の食事も発生します。既存事業のニーズが増えることで相乗効果があり、売上のV字回復を達成しました。事業開始から3年経ちましたが、この選択は正しかったと思います。

ふなやすの真のおもてなしの心について教えてください。

私が駆け出しの頃に、80歳くらいのおばあさんのお宅に営業へ伺った時のことです。そのおばあさんが女学生の頃のお話をしてくれました。ある魚屋に買い物のお使いに行ったそうです。魚屋のおばちゃんが、身元も知らない女学生にお茶やおやつを出し、もてなしてくれたそうです。そのエピソードを聞いた私は、その魚屋のおばちゃんは私のひいばあさんだと感じ、会ったこともないひいばあさんがしているおもてなしが思い浮かびました。それは、うちの母も祖母も同じことをお客様にしているのを見てきたからです。世代が変わっても人と人が触れ合う心は継承されていく、商売が変わってもその心は変わらないと気付きました。この代々受け継がれた心こそ、これからも会社の中で残さなければならないと想っています。

求める人物像を教えてください

人に喜んでもらいたい、ありがとうって言ってもらいたいという思いに共感していただける人、つまりホスピタリティやサービス精神のある人ですね。あと、自己成長に喜びを感じれる人ですね、相手がどういう風にすれば喜んでくれるかを考えて行動している人、それができる人には、心からありがとうって言えますし、いいなと思います。

会社を今後どのようにしていきたいですか

地域にどういう形で貢献していくかということを大切にしています。現在、私は養老町の商工会に入っていて、ボランティア活動をしております。そこで一生懸命活動することが、自分のやっている商いに興味を持って頂けると思うし、提供している商品やサービスを活用していただけると思っています。それは町の活性化にも繋がると思います。また、養老町にとってふなやすという会社はすごく大事な存在と思われるような会社であり続けたいです。その為に今できることはなんだろう、と私の人生をかけて追求していきたい。そして、1000年先へ受け継いでゆく会社にしていきたいです。

企業情報

株式会社ふなやす

サービス業

住所 岐阜県養老郡養老町釜段699
URL
創業 昭和2年(設立)

取材後記

初めてのことで緊張している私たちを、笑顔で温かく迎えていただきました。凛としたたたずまいで、こちらの取材案にもじっくり目を通され、気さくに私達の質問に答えてくれました。取材を通して、安部さんの熱い思いや、人に対する優しさが伝わってきました。写真撮影でティア養老に移動した際、安部さんみずからお茶を出して下さいました。普段からおもてなしの姿勢を率先して示されていると感じました。2013年流行語大賞にもなった「お・も・て・な・し」の心を教えてもらいました。