職人の手による
本物のギター作り

FILE.25株式会社ヤイリギター

ゼネラルマネージャーの矢入賀光さんと
マスタークラフトマンの丹羽雪男さんにお話を伺いました

事業内容について教えてください

職人手づくりによる純日本製のアコースティックギターを製造しています。
K.Yairiブランドとしてカタログ商品にある一般的な普及品から、国内外の有名アーティストに愛用されるカスタムモデルまで、材料にこだわり多品種少量生産で、1本1本丁寧に作っています。「高品質より我ら生きる道なし」を信念として、本物のギター作りを追求しています。

材料について教えてください。

材料となる木は、カナダやヨーロッパ、インドなど世界各地から集めています。ギター材として使えるのは、主にローズウッドやスプルスなど十数種類の樹木で、年輪の真ん中と端を除いた1/3ぐらいと希少です。また、買ってすぐ作るのではなく、5年から10年と屋外の過酷な条件の中で自然乾燥させたのち、人工的な強制乾燥も行いふるいにかけます。大切な材料だからこそ、長い時間をかけ、いろんなストックを持ちながら、出来るだけ上手に使っていく方法を考えます。

手作りについて教えてください

材料は自然のものなので同じ木からでも、柔らかい板や硬い板などあります。それを同じ条件で加工すると振動の具合が異なり、音のバランスがバラバラになります。振動の具合を均一にするには、熟練の職人の手によって、長さや厚みなどの板の削り具合を微妙に調整する必要があります。また、オーダーメイド品ではお客様が直接ここに来られ、ネックの握り具合を確認しながら削ることもできます。手作りだからこそ、お客様のこだわりをとことん追求することが出来ます。

品質への意気込みを教えてください

親から子、子から孫へ末長く使ってもらいたい。だから、売りっぱなしにはしません。アフターケアを大切にし、何年前のギターでもヤイリギターの製品なら現役のようにメンテナンスします。また怪我をしたギターの修理なども責任を持って行います。いい職人がいるからこそ対応可能です。木というのは、やっぱりどうしても狂ったり割れたりとか暴れるとか、長い間には絶対につきものなんです。そういうことを見越して、安心して使ってもらう為に、永久品質保証を設けています。

KANI GIFU JAPANと刻印されている理由を教えてください

ギターがどこで生まれ、誰が作ったのかを明確に知らせたいと思っています。K.Yairiギターの生まれ故郷は日本の岐阜県可児市、ここで全て作っていると。その証として、材料や職人の技術をオープンにした工房見学を行っています。社長はよく「女の子と一緒ですっぴんがいい」と言います。化粧でごまかしては駄目だと。隠しごとなく全て見てもらい、お客様に「あそこの職人さんたちは真面目にやっているよ」と、安心感を持って購入して貰いたいです。それは私たちにとっても、お客様と直接交流ができ、さまざまなニーズを掴める機会となりよい相乗効果が生まれます。

アーティストとのエピソードを教えてください

沖縄出身のバンドBEGINとはデビュー当時から「こんなギターがあったらいいね」というキャッチボールをしていて発展して生まれたのが、沖縄三味線をお手本にした一五一会です。4本の弦を一度に押さえ、音がなれば沖縄らしい音色の弾き語りができる楽器です。専門外だからと断るのは簡単だけど、何とか結果を出したいと思い三味線の勉強からはじめました。BEGINも積極的にここに来てノウハウを教えてくれました。こうした結果は、アーティストやスタッフに「ヤイリギターはいろいろやってくれる」と口コミで広がり、また新しい輪を広げてもらっています。

今後のビジョンについて教えてください

「本質の追及」「本物作り」という、これまでの製作姿勢をこれからも変わらず貫いていきたいです。お客様の求めるものは人それぞれです。好きな音、好きなボディ、色などたくさんの要望を揃えたギターほど、満足度の高い、長く使ってもらえるいいギターだと思います。私たちは絶えず向上心を持って技術を磨き、「これは自分だけのギターだ」とお客様が周りに自慢したくなるような、ギター作りを引き継いでやっていきたいです。

企業情報

株式会社ヤイリギター

ギター製造業

住所 岐阜県可児市下恵土3230-2
URL http://www.yairi.co.jp/
創業 1965年

取材後記

高品質へのこだわりから生まれたヤイリギター。プロ意識の高い職人集団だからこそ、日本のみならず世界中の人から求められるギターが生まれるのだとわかりました。また、一五一会も触らせてもらい「涙そうそう」にチャレンジしました。初めてでしたが、簡単にメロディが作れミュージシャンになれた気がしました。2014年10月には、第3回 一五一会世界大会が可児市で開催予定です。今から楽しみです。