専務取締役の林戸達美さんに話を伺いました
多治見市民のために、何かやろうと考えたことがきっかけです。最初は便利屋事業を立ち上げ、市民の方々の身の回りのサービスを行っていました。しかし、これだけで事業展開は難しく、「ほかに何ができるか?」と考えていたんです。そして、お客様の目線に立ったサービスが提供できる、いまのタクシー事業にたどり着きました。お客様と会社と社員が「ありがとう」で結ばれる会社を目指し、目配り・気配りを意識してコミュニティタクシーは走り出しました。
弊社は、一定のサービスを提供するために固定給制を採用しております。一般的に多くのタクシー会社は歩合給制ですが、固定給にすることによってドライバーの生活を安定させ、質の高いサービスを提供することが狙いです。だから、ドライバーを弊社ではハートフルドライバーと呼んでいます。お客様を支えてあげたいという思いに賛同し、従業員が集まり、主婦の方もパートタイムとして活躍しています。その甲斐もあり、わたしたちは、駅待ち、病院待ち、流しなどを行う必要もありません。お迎えの電話注文だけで、多治見市でシニア支持率No.1の評価をいただくことができました。
弊社には、酒井という入社5年目の主婦のパートドライバーがいます。ある日、病院帰りの風邪気味のおばあさんを自宅の玄関先までお送りし、玄関のドアを閉める際に「おばあちゃん早く風邪治してね。身体いたわってね。」とドア越しに声をかけたんです。そうしたら、隣で片付けものをしていたおじいさんがその様子を見て、電話をかけてきてくださったんです。「コミュニティタクシーさんには、おばあちゃんにそうやって声をかける素晴らしいドライバーさんがいるね」と電話を受けました。評価をいただいたことにも、現場で働くドライバーの姿勢にも、非常にうれしく思いました。
日常生活で困っている方に、会社として何かできないかという思いで始めた便利屋サービスが、いまのラクシーホームサービスです。具体的には、庭の草むしりやふすまの張替えから福祉関係の清掃を請け負うなど、一般の方と企業様からの注文も受けています。時には、ケンカの仲裁もしました。わたしたちのサービスは、実現できないことも多いですが、社員がやれることを一生懸命考え実践することでお客様に満足していただき、サービスを続けております。また、タクシーをご利用されたお客様から、「こんなことはお願いできない?」と頼まれるなど、相乗効果で認知されるようになりました。
わたしたちは朝礼に力を入れています。これから仕事を行う上で、プライベートから仕事という「公のこと」に切り替えをすることや、元気に仕事に取り組むことを目的としてやっております。会社全員がチームワークをよくして仕事ができるよう、そういう場を始業前に設けましょうということです。朝礼では、立ち姿勢を正し、全員しっかり合わせたお辞儀を行っています。しっかりした姿勢でとにかく元気に大きな声を出すことや、キビキビした動作と返事も心がけています。
わたしたちは、地域住民に対して生活支援ができる企業を目標に会社を立ち上げました。この思いに賛同してくださった多治見市民の方が出資してくださり、起業することができました。いまでは、市之倉トライアングルバスと古虎渓よぶくるバスの運営も行っています。シニアの方の外出支援のみならず、通勤・通学など子どもから社会人まで多くの方にご利用いただいています。こうして、多治見市民の方に役立つサービスを、ほかの事業でも考えていきたいですね。地域のみなさんの役に立つことをタクシーだけに捉われず、いろいろとアイデアを出してやっていきたいです。
「地域のため」という言葉が似合う会社でした。コミュニティタクシーで行われている事業に携わる人々が「人の役に立つこと」に集約されていました。インタビューを受けてくださった林戸専務からも熱い思いが伝わり、とても魅力的な会社に感じられました。それをお客様が体験することで、この会社にまたお願いしよう、こんなサービスはお願いできないかな?という気持ちを引き起こすのだと思います。こうしてリピーターが増え、高い評価を得るとともに地域に根づくことができたのだと思います。