代表取締役社長の石橋常行さんに話を伺いました
先代より「森を守ろう。文化を守ろう」という理念がありました。どうして森や文化を守るのかを考えたとき、「そこには『人』の営みがある」という結論にいきつきました。住宅を提供している者として一番大事なことは、家に住む人、家を作る人、それをバックアップする人など、「人」が重要だと思ったんです。「住まいづくり」をとおして「人をつくっていくこと」が、我々の仕事であり社会貢献だと考えています。
我々は人々の暮らしに着目し、岐阜県産材を使った、オートクチュールの住宅をつくっています。「お客様の想いと我々の想いが融合」をした最高の住まいづくりを実現するため、特に検討段階の「くらしインタビュー」を大切にしています。誰がどの部屋でどう暮らしていくのか、どう生きていくのかを入念に聞きます。「タオルが何枚あるの?」というところまで聞きますよ。それによって、物干し場の大きさを決めることができるんです。こうして、くらしインタビューから人の営みを具現化していくのが我々の想いです。
やはり、お客様と我々の想いを共有することで、一致団結して住まいづくりというものを十二分に楽しんでいただきたいと考えています。着工式・上棟式・引渡し式という大きなセレモニーを通して、「顔の見える家づくり」を実現しています。完成後もお客様とのお付き合いは続きます。我々が建築に関わったお客様の住まいを、新規のお客様に見学していただくんです。その際、ご家庭の営みを見学させていただきます。非常に多くのお客様に協力していただき、住まいづくりをとおして、お客様との関係を深めることができているのではないかと感じています。
社員には、常に「失敗を恐れるな」と伝えています。若手にもプロジェクトを任せています。それは、中堅社員がプロジェクト実現のために挑戦している姿から、若手に失敗を恐れる必要がないことを気づいてもらうためです。そして、中堅社員には、若手に信頼感と達成感を与えられるような人材になっていってほしいと願っています。だから、中堅には厳しいですね。今年、「すみせいびと5幸目」というものが完成したんです。これは、社員自らが作成したもので、社内で共有されている行動指針や心意気、日々社員に伝えていることなどをまとめたものです。私は一切かかわっていないんです。これを持ってきてくれたときは感動しましたね。私の宝物です。
4月1日の入社式の段階で我々の会社のことをよく理解していて、すぐに具体的な研修に入っていけるよう内定者研修にかなり力を入れています。その中の「内定者がつくる会社案内」の作成は、内定者(学生)目線で我々の会社を表現してほしいということでスタートし、3年目となりました。大枠以外は、彼らにすべて考えてつくってもらいます。これが、次の採用活動に用いられます。
プレイヤーがほしいですね。評論家はいらない。野球に例えると、打席に立つには相当な努力をしなければならないし、それなりの準備をした人間が打席に立てるわけです。何もやりもしないで打席に立たしてもらえるほど甘くはないんです。けれども、挑戦するということを恐れないでほしいです。別に大きい一歩でなくてもいいんです。毎日半歩でもいいから、前に進むことこそが挑戦であると考えています。このように、成長を望み率先して行動できる人材を求めています。
今回の取材で写真撮影をお願いした際、石橋社長の「写真撮影するぞ」の一声に、社員のみなさんが集まってくださいました。さらには、「どのような場面を撮影するのか」といったことまでを和気藹々とした雰囲気の中で考えてくださり、社長と社員のみなさんとの絆の深さを感じました。また、「すみせいびと5幸目」についてお話された際の社長と同席いただいた社員の方の笑顔が印象的でした。こうした日々のやりとりの中で築かれた社内の絆が、お客様にも波及して、全員が一致団結した高品質の家づくりが実現できるのだと感じられました。